好きになってはいけません。




「すみませんお客様、トラブルに巻き込んでしまったようで…」


「いえ…
相手の方が、私の知り合いで…
こちらこそ、すみませんでした」



ガラスの破片を拾い、


飲み物と血が混ざった液体を拭き取るお手伝いをした後、深々と頭を下げた。



……あんなやつが、幼なじみなんて。


あんなやつのこと、好きだったなんて。



………最悪だ。







喫茶店を出て、家に帰ろうと歩き出した時。



向かう方向から、誰かが息を切らして走ってきた。



「……っ、柚!」


「………え?」



その人から私を呼ぶ声が聞こえて、ハッと顔を上げる。



こっちに向かって走ってきていたのは……蒼だった。