いつも優しいクマくんが、 イタズラっぽく笑って、私の頬をつねった。 「…ひぇ…? いひゃいよ、クマくん…」 「……ちょっとだけ、蒼を好きになった仕返し。 でも、これ以上柚を責める気はないから」 ふふ、とまたイタズラっ子のような笑みを浮かべた後、電車が近づく音がして。 『あ、電車来たよ』って声で、クマくんの横顔を盗み見た。 ……今までよりも、 クマくんの横顔が、とても大人っぽく見えた。