好きになってはいけません。




「な…っ、蒼!?
コイツらをかばうの!?」


「程度の低い人間の相手をしても無駄だ。
帰るぞ」



テーブルにお金を置いて、カバンを持ってお店を出て行く蒼。



「あ、待って、蒼!」



さっきの怒り狂ったのはどこへ行ったのか、甘ったるい声を出しながら女は蒼を追いかけて店を出て行った。


……助かった。


けど……


『程度の低い人間』


ひどいよ、蒼。



……最低。




「……あの」


「…えっ」


「ありがとうございました…庇ってくれて…」



お礼を言う店員の女の子の手は、手の甲が真っ赤に腫れていて、手のひらからは血が流れていた。



「あぁ!!早く止血して!!
他の店員さん誰か呼んできてくれますか!?」



『はいぃ…!!』と返事をした女の子が裏に入り、代わりに男の店員さんが掃除用具を持ってきてくれた。