好きになってはいけません。




もう、本当に



蒼が、好きなんだ…。




「……彼氏がいるの知ってて、やった。
悪かった」


「違う…っ、私も拒否しなかったし…!」


「柚は悪くねーよ。
俺が勝手にやっただけ。全部俺が悪い」



どこか棒読みっぽくそう言った蒼は


眉を下げて、悲しそうに笑った。



「……悪いな、邪魔して。
先に帰るわ」



片腕に抱えていた荷物を両手に持ち替えて、蒼は家の方へ歩いて行く。


去っていく蒼の背中が、何故か小さく見えて…



涙が出そうになった。