「クマくん…」



私を呼んだのは、クマくん。


ニコ、と笑ったクマくんは、ゆっくり私に近付いて「おかえり」と呟いた。



「……ただ…いま…」


「家で待とうと思ったけど、
早く会いたくて駅まで来ちゃった」



『荷物持つよ』と言って私の手から荷物を取る。


……クマくん


ずっと、蒼の方、見ない…。



「クマくん、あの…」


「早く2人きりになりたいな」


「クマくん…っ」



帰ったら話すって、言ったけど…


その話が蒼のことってわかってて、なんで今何も言わないの?



「クマくん…あの…っ「クマ」



何度もクマくんを呼んでると、蒼の低い声に遮られた。



「柚が話したがってるだろ。
聞いてやれよ」