好きになってはいけません。




ガタッと音をたてて立ち上がり、


店員さんのもとへ駆け寄った。



「大丈夫ですか」


「……えっ…」



泣きそうな顔の店員さんに声をかけてから、


黒髪ロング女の足をグッと掴んだ。



「……なに?」


「汚い足どけて」


「………は?」


「その汚い足、どけろっつってんの」



ググ、と足首を強く掴むと、女の顔が歪んだ。



「いたっ…いたいっ!!
なにするのよ!!」


「そのキンキン声、迷惑」



睨みながら言うと、女の人が手を振りかざした。


………あ


叩かれる…。



覚悟して目を瞑った瞬間。




「やめろ」




それまで一言も発さなかった、蒼の声が響いた。