携帯を持った手をぶらりと下げると、肩を強く掴まれた。
「…あお…」
「こんな時間に一人で出歩くな！！」
息を切らした蒼が、真っ直ぐに私を見ていた。
……なんで？
昼間から気まずかったのに…
それに、
笑美さんと一緒にいたはずじゃ…？
『柚！？
大丈夫！？』
まだ通話状態だった携帯から、クマくんの声がする。
蒼が来たことで、何か起きたと思ったのかな。
「……大丈夫、蒼が来ただけ。
ちゃんと帰るから……じゃあ、切るね」
『おやすみ』と言って、一方的に会話を終わらせて電話を切った。
「……電話、クマからだろ？
俺と一緒なんて言っていいのかよ」
「……クマくんは、わかってるから」
