好きになってはいけません。




通話ボタンをタップして


携帯を耳にあてる。



『もしもし、柚?』


「……クマくん、こんばんは」


『こんばんは。
もしかして、もう寝るとこだった?』


「……ううん。今、外」


『こんな時間に外?
危ないよ。誰か一緒にいる?』


「ううん、一人…」


『本当に危ないって。
早く芽依たちがいるとこに戻って』



クマくんの、心配そうな声が聞こえる。



「……帰りたくない」


『……柚?
どうしたの?』



蒼と笑美さんが、一緒の部屋にいる家になんか


帰りたくないよ。



『柚…泣いてるの?』



クマくんの声に、鼻をズッとすすった。



『柚、どうしたの?泣かないで』