こぼれてしまった僅かな量のかき氷は、もう砂浜に溶けてしまっている。


結構美味しかったのにな、ゆず味…。もったいない。


あーあ、と心の中で残念に思っていたら、


蒼の手が、お腹から少しずつ上に上がってきていた。



「……!?」


「かき氷も食い終わったし、
俺たちも泳ぎに行くか」



耳元でクス、と笑い声が聞こえた瞬間。


着ていたパーカーのファスナーが、蒼の手で下ろされた。



「えぇ…っ!?」



ちょ、ちょっと待って…!


まだ心の準備が…!



「はぁ…エロいな」


「…は!?」


「キスマークもばっちり見えてる。
隠す気ねーの?」



肩口から覗き込むように言う蒼。おかげで息が耳にかかってゾワっとする。