仕方なくゆず味のかき氷だけ持って、柚たちのもとへ戻る。
2人はみんながいる場所より少し離れたところの砂浜に座っていて、俺もその隣に腰をおろした。
「あ、蒼くんおかえり。
それ、かき氷?」
柚と話せてリラックス出来たのか、さっき一人でいた時よりも明るい鮎川が俺の手に持ってるものを指さして聞いてくる。
「うん」
「何味?レモン?」
「………ゆず」
ボソ、と小さい声で言うと、
柚が「え」と声を漏らした。
「蒼、柑橘系って苦手じゃなかったっけ?」
柚の言葉に、鮎川が『ほぉ〜』と言いながら頬を緩めた。
……なんで、そういうことは憶えてんだよ。