ただの幼なじみで


友達の好きな人、ってだけ。



『じゃあさ、俺と付き合おう。
蒼のこと好きでもいいから』


『え…そんなのクマくんに悪いよ』


『いいよ。
蒼のこと忘れるくらい、俺がめちゃくちゃ大事にする。

……簡単に諦められないくらい柚が好きなんだ。
もうちょっと、頑張らせて』



その言葉から、クマくんを意識するようになって。


そして、今に至る。






「わっ!」



電車がカーブに差し掛かった時、よろけてしまってクマくんにぶつかった。



「あっ、ごめん!」


「いいよ。
なんか考え事してた?」


「……クマくんに告白された時のこと、考えてた」


「…!
まじか、恥ずっ」