偽りのキス


乙は楽しそうに話した


中学の時の話

高校の友達の話



それから
どぉして乙がオレを好きになったのか…



「蒼汰、いつも優しかった
覚えてる?
体育祭の時、私が膝を擦りむいて
グラウンドの水道で洗ってた時
ちゃんと消毒した方がいいよって
先生のとこ連れて行ってくれた」




「そぉだっけ?
子供の頃、親に言われてたから
消毒しないとバイ菌入るって」




「あと、ノート移すのに貸した時
返ってきたノートに
『ありがとう』って書いてあって
嬉しかった
変な絵も描いてあったけど…」



「変な…って余計じゃない?
クマの絵だけど…」



「クマ?…ブタだと思った」

乙は笑った




「でも、まだ、あのノート
とってあるんだ…」



そう言った乙がかわいく思えた