偽りのキス


「ハイ…」



ショップから出ると清田くんから
紙袋に入ったマフラーを渡された



「…いいの?ホントに」



「うん、いいの、いいの…
乙ちゃん、ベージュの方が似合うかな…って
オレ、紺にした!」



「最初から自分のマフラーじゃなくて
乙ちゃんに
マフラー買ってあげるつもりだった
オレのがついで…
ペアで買う気じゃなかったけど
店長がしつこいから、ごめんね」


清田くんが笑った



「ありがと」



「うん、着けてみて

だって、今日乙ちゃんがしてたマフラー…
蒼汰のでしょ…
オレ、嫌だった、
乙ちゃんといるのに蒼汰の匂いがして…」




清田くんに言われて、胸がズキってした



気持ちがわかるから…