アルバイトのせいでテレビの録画欄に溜まってしまったドラマを見ていたらすっかり寝るのが遅くなり、寝坊してしまったのだ。

「一時間目は……最悪！あの教授のやつじゃん！！」

一時間目の講義は、美砂たち学生からは不人気の教授のものだった。とにかく厳しいことで有名で、遅刻をした生徒は教室に入れてもらえないのだ。

「単位取れなかったらまずい！！」

美砂はゼエハアと荒い息を吐きながら走り続ける。過去最高記録で走っていると感じ、タイムを測ったら何秒なんだろうと考えていた。

「よかった！もうすぐ大学だ……」

数メートル前に見える曲がり角を曲がれば大学はすぐそこだ。ギリギリ間に合う。美砂はホッとしながらも走り続けていた。

「わっ！！」

曲がり角を曲がった刹那、美砂の目の前に誰かが飛び出してきた。美砂は避けることも止まることもできずにその人に思い切りぶつかってしまう。そして、二人同時に地面に倒れた。