「ねえ、何で電話に出てくれなかったの?」



ああ、またかよ…。


私の肩を揺さぶるのは、恋人の巫 優都(カンナギ ユウト)。

鬱陶しい。

「ねーえー、何で~?」


うざい。


私、氷川 鈴(ヒカワ リン)は、告白を受け、 流れるままに受け入れていたら、気づいた時には恋人が出来ていた。


「そもそも私、携帯持ち歩いてないし」

これ、何回目だ。


いちいち面倒。

必要以上に構ってくるなよ、うざいから。



そう、言葉にするのすらダルい。


私の恋人は、ヤンデレというやつだ。



何かあると目を潤ませて、「何で?」だの、「僕のこと嫌いになっちゃったの?」だの、五月蝿い。

そもそも、他人とわちゃわちゃ関わることすら、敬遠してきた私だ。


過去の自分を殴りたい。


『好き!好き好き大好き付き合って!』

あー、何コイツ?

初めましてなんですけど?

好きって……どこを?


私、自分が「無口無愛想」って自覚あるし。



『断る』


……ん?


いや、私あの時断ったぞ…?

『分かった!付き合ってくれるんだね!』


あ───。


コイツの、『分かった』の言葉に騙されてたんだな。


諦めたと思ってたわ。