服を着て髪を乾かし、
泣いたせいで酷く腫れた顔を洗う。
そして何も無かったふうに装ってリビングに入る。
多分、りゅうちゃんが帰ってる時間だ。
そう思ってリビングに入ったのに、
「…なんで、」
なんで、晴菜がいるの?
りゅうちゃんに支えられながら椅子に座る晴菜。
晴菜は雨の日だからか顔色が少し悪い。
りゅうちゃんはそんな晴菜の頭を撫でながら優しい言葉をかける。
あたしの『なんで』って声が聞こえたのか、りゅうちゃんが振り返る。
パッと見で泣いたとわかる顔。
下手をすれば晴菜よりも血色の悪い顔。
パッと見で何かあったとわかる顔。
なのに、りゅうちゃんは、
ふい、とあたしから目を逸らした。
まるで何も見てませんよ、とでも言うふうに。
あたしよりも晴菜のことが心配でたまらないって、
あたしは訳ありじゃないから1人でも大丈夫だろうって、
──そんな顔をして。

