「…ただいま…」
泥だらけのママ家に入るのもあれだから、
玄関で制服とスカートと靴下をぬぐ。
スカートなんてどろどろで履いたまま家に上がったら大惨事だ。
割と広めの玄関をでて、お風呂に続くリビングに入る。
「お、流雨ちゃん帰った、「ごめん、お風呂入ってくるね」」
こんな格好をりゅうちゃんのお父さんの前で長い間晒せない。
足早にお風呂場に向かい、ドアを閉める。
ドアの鍵は壊れていて閉めれない。
昔、りゅうちゃんが壊した。
…昔のりゅうちゃんはあたしにすこぶる優しい代わりに、かなり荒れていた。
それこそ、暴力沙汰もしょっちゅう。
警察に連れていかれたことだってある。
そのたびにりゅうちゃんのお父さんがりゅうちゃんを迎えに行って、喧嘩をした。
あたしはどうすることも出来なくて、
ただただ見てるだけ。
だけどりゅうちゃんはりゅうちゃんのお父さんと喧嘩したあとは決まってあたしの部屋に来て、あたしを抱く。
──すごく乱暴に。
りゅうちゃんはセックスの時だけは乱暴で荒々しかった。
だけど、終わったあとはいつも優しかった。本当に。
「いつもありがとう」って優しく笑って。
あたしはりゅうちゃんのそんな顔が見たくて、痛くても我慢した。
…懐かしいな、なんて思いながら下着を脱ぎ、シャワーを浴びて湯船に浸かる。

