あたしはまだ頑張れる。

「晴奈、好きだよ。」

「私も。」


…好きな人が、別の人と付き合ってても、


「キスしていい?」

「当たり前でしょ。」


…好きな人が、あたしじゃない別の誰かとキスをしていても、



「麻峯、先行っててくれない?」


…好きな人が、あたしのことを苗字で呼ぶようになっても。


あたしはまだ耐えられる。


まだ頑張れる。


昔の記憶があるから、


辛くても、


苦しくても、


…踏ん張っていられる。


りゅうちゃんだけがあたしの全て。


たとえ別の子を愛していたとしても、


あたしはりゅうちゃんに溺れたまま。


苦しくて、浮き上がろうともがいても、


どんどん沈んでいって息が詰まりそうになる。


それでも、りゅうちゃんがいる、その事実だけで少し楽になるような気がした。