お母さんと咲希さんのバトルが始まって、お父さんは呆れた顔をしていた。一颯さんはお父さんに顔が似ている気がする。寡黙であまり話さないが、実家は何処?とか二人で話をしたりもした。

お昼にお邪魔して、あっという間に夕方になってしまった。途中、お兄さん御夫妻は仕事に戻ったが、御挨拶だけでも出来て良かった。お兄さんも顔立ちは一颯さんに似てたけれど、穏やかに話をする人だった。

「何のお構いも出来ませんでごめんなさいね。また遊びにいらしてね。お土産も有難う御座います」

「沢山美味しいご馳走を頂き、ごちそうさまでした。今日は有難う御座いました」

帰る時は御両親と咲希さん、おばあさんに見送って頂いた。緊張したけれど、楽しい一時だったなぁ。御両親も親しみ易い方で良かった。次回の休みは私の実家に一颯さんと一緒に行く予定。

「一颯さんの御実家は旅館を経営してるんですね。驚きました!」

「隠していた訳ではないが老舗旅館をやってる。大女将が母で、兄嫁が女将を務めている。刺身の盛り合わせは旅館で板前に切ってもらったんだ。ちなみに父は板前ね」

「わぁっ、お父さんは板前さんなんですね!カッコイイ!」

「父は真壁家の婿養子。女共がうるさいのは、真壁家の血筋」

「気さくな方達で親しみ易かったですよ」

一颯さんの実家にお邪魔した事により、知らなかった事が明らかになる。何より、私を快く受け入れてくれた事が嬉しかった。結婚前提でのお付き合いも承諾を頂けた。