三百枚以上のナフキンを扇型に折り、皿を並べた上に広げた。

支配人が戻って来た頃に一段落がついて、定時時間が近付いている事に気付く。

「残りは明日やろうね」と星野さんから言われて、今日の業務は終了。

この後、星野さんは別な業務に取り掛かるらしく、掛かって来た電話を受けつつ、慌ただしく会場を後にした。

「明後日は披露宴のサービススタッフとして入って貰う」

星野さんが去った後、本店より戻って来た支配人が披露宴会場を見渡しながら、私達に向けて話す。

「披露宴のサービスかぁ…。精一杯頑張ります!」

系列のリゾートホテルでも披露宴のサービススタッフのヘルプに入ったが、綺麗な花嫁さんの姿を見ては自分の事のようにワクワクドキドキしてしまう。

煌びやかな会場を見るだけでも、胸が高鳴る。自分もいつか、花嫁になる日が来るのだろうか?とサービスしながら想像してしまうんだ。

「…篠宮、口元が緩んでるぞ!大丈夫か?そんなに披露宴サービスが嬉しいか?」

「…わぁ、だ、大丈夫…ですっ。嬉しいです、花嫁さん見たいです」

支配人に指摘をされ、嬉しさが顔に出ていた事が恥ずかしくなり、慌てて口元を隠す。

「…そうか。小学生が式に呼ばれたみたいに喜んでいるのは見て分かるが、粗相しない様に気をつけろよ」

「は、はい…」

クスクスと笑う支配人は、私を子供扱いするかのように頭をポンポンと軽く叩く。

頭に触れられた手の感触を確かめるように、頭に手を添えた私は思わず支配人を見上げてしまった。