本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~

「この後はラウンジに友達を呼んであるんだ。良かったら、顔出してね」

「勤務中ですので、お伺い出来るかどうかはお約束出来ません」

「相変わらず、篠宮さんは真面目だね。ちょっと…本のちょっとで良いんだ。顔を見せてくれるだけで」

「……かしこまりました。お友達がいらっしゃいましたら、御挨拶にお伺い致します」

「宜しくね。中里さんも来れたら来てね」

幸田様は笑顔を絶やさずに居たが、私の表情は強ばっていたかもしれない。ルームサービスを終えて、客室を出た後に優月ちゃんが私の顔色の悪さに気付いた。

「大丈夫?気分悪い?」

「だ、大丈夫だよ。……こんな事は言っちゃいけないんだけど、幸田様の笑顔の裏には何かありそうで…やっぱり怖い」

一颯さんのマンションに向かう途中に後をつけられていた事、勤務中にも関わらずに執拗にプライベートを聞き出そうとする姿勢、私には初めての経験で何だか怖い。男性との付き合いの経験も乏しい私には上手く交わせなくて、ついつい怒っているような突っぱねてしまっているような態度をとってしまいがち。そんな態度が余計に幸田様の機嫌を損ねているとしたら……?

「恵里奈ちゃんは怖い思いもしてるんだから、そう思っても仕方ないよ。私も一緒にラウンジに行こうか?」

「ううん、大丈夫。フロアには高見沢さんも居るから何とかなりそうだよ。それよりも、遅い時間まで有難う」

私は首を横に振り、優月ちゃんの好意を断った。傍についていてくれた星野さんが一颯さんに電話で様子を伝えてくれて、ラウンジに立ち寄る時は傍で見守ってくれる事になった。