本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~

エグゼクティブラウンジは基本はエグゼクティブフロアに宿泊している方へのドリンクや軽食サービスを提供している。宿泊している方の御友人ならば、一定料金を支払えば利用も可能になる。

幸田様の宿泊目的が卒業記念だとしたなら、安心も出来るかもしれない。

「私や他のスタッフも気配りはするけど、他のお客様の御迷惑に成りかねない時は早めの判断をする事になったからね。一応、報告迄」

今の所、幸田様は問題を起こした訳でははない。これ以上、個人的な事情に他の方を巻き込むわけにはいかないから、ルームサービスの時に和解したい。私が出向く事で丸く収まると良いのだけれど……。

───ルームサービスの時間が間近に迫り、優月ちゃんと星野さんがやって来た。

「お疲れ様です。星野さんまでお越し頂き、有難う御座います」

「お疲れ様。今日はパーティーとかないからね、大丈夫だよ。それに支配人様にも頼まれてるからサポートさせて頂きます」

星野さんは変わらず笑顔が素敵な方だ。優月ちゃんは星野さんを諦めたと言っていたけれど、平常心は保っていて、普段通りに接していた。

「よし、頑張ります!」

優月ちゃんはパーティーの人手が足りない時などに星野さんの依頼により、レストランに出入りしているので、私よりもサービスは手慣れているかもしれない。
このホテルに来て、一年が立った。私達はお互いに成長し合えたと思っている。

客室のドアのチャイムを鳴らす前に深く深呼吸をする。

「失礼致します、御夕食の御準備をさせて下さいませ」

ドアを開けて、ついにルームサービスの時間が始まった。私はまず、テーブルにクロスを張り、グラスやシルバーを並べ始めた。幸田様は何も言わずに私達の行動を眺めていた。

「幸田様、御準備が整いました。こちらへお掛け下さいませ」

準備が整い、幸田様を御案内した。幸田様は「有難う、篠宮さん、中里さん」と言って席に着いた。