本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~

「一颯君に電話で伝えた時に少し取り乱してたけど、あんた絡みだといつも平常心じゃいられなくなるみたいだね」

幸田様の件で一颯さんから電話があったと高見沢さんに報告に行った。高見沢さんはエグゼクティブフロアの事務所内のPCで幸田様の顧客名簿を見て注意事項を打ち込んでいた。幸い、皆が出払っていて周りには誰も居なかった。

「そうですか?」

「そうですか?じゃない!正直言うと、あんた絡みになると威厳のあるキリッとした一颯君じゃなくなるんだよ。……まぁ、うろたえてる一颯君も可愛いから嫌いじゃないけどね」

年上の男性を捕まえて可愛いだなんて!その気持ちは私も分かるから否定は出来ない。高見沢さんは本当に一颯さんが大好きなんだなぁ。上司に対する尊敬の念と言うよりも、お兄ちゃん的な感じかな?

「分かりますー。たまに可愛くなるんですよね!」

誰かに聞かれたらまずいので小さな声で話す。高見沢さんは星野さんと同じ位に一颯さんを理解しているから、話していると私のテンションが高くなってしまい、ついつい声も大きくなりがちだから気をつけなくては!中でも、高見沢さんとは一颯さんの可愛さについて共感出来るから益々テンションが上がって、表情にも大好きな気持ちが溢れてしまっている。