他の業務をこなしていると一颯さんから職場の携帯に電話があった。
「配膳会のアイツが宿泊に来ていたとはな。回避出来なかった事、大変申し訳ない……」
電話口の一颯さんは落ち込んでいるのか、声が小さく張りがない。回避出来なかったのは一颯さんのせいでも、誰のせいでもない。
新規のお客様として予約してきた限りは拒否する訳にはいかないし、他のホテルのブラックリストにも載っていないのならば受け入れるしかないのだ。予約時は配膳会の彼だとは誰も気付かないし、私も名前を知らなかった。
一颯さんは配膳会として出入りをする方々の名簿は持っていて、名前を知っていたのかもしれないが、あえて私には名前を明かさなかった。
「誰のせいでもないですし、私の個人的な理由で宿泊をお断りする訳にはいきませんので、充分に気をつけた上での接客を致します」
「分かった。可能な限り、俺も手は打っておく。何かあった時には……、勿論、ない方が良いのだが…必ず連絡してくれ。後程、エグゼクティブフロアには顔を出すから」
「はい、分かりました。有難う御座います」
一颯さんの声を聞けた事で、少しだけ不安から解放された気がした。困難に出くわした時、一颯さんが居れば自分の足で立ち向かう事が出来る。きっと大丈夫、そう思って両方の拳に力を入れる。私は一人じゃない。一颯さんも高見沢さんも優月ちゃんも居て、その他にも支えてくれる方々も沢山居るのだから負けない。
本音を言えば怖くて堪らないけれど、相手はお客様として来ている。私が誠実な態度を示せば、きっと大丈夫!
「配膳会のアイツが宿泊に来ていたとはな。回避出来なかった事、大変申し訳ない……」
電話口の一颯さんは落ち込んでいるのか、声が小さく張りがない。回避出来なかったのは一颯さんのせいでも、誰のせいでもない。
新規のお客様として予約してきた限りは拒否する訳にはいかないし、他のホテルのブラックリストにも載っていないのならば受け入れるしかないのだ。予約時は配膳会の彼だとは誰も気付かないし、私も名前を知らなかった。
一颯さんは配膳会として出入りをする方々の名簿は持っていて、名前を知っていたのかもしれないが、あえて私には名前を明かさなかった。
「誰のせいでもないですし、私の個人的な理由で宿泊をお断りする訳にはいきませんので、充分に気をつけた上での接客を致します」
「分かった。可能な限り、俺も手は打っておく。何かあった時には……、勿論、ない方が良いのだが…必ず連絡してくれ。後程、エグゼクティブフロアには顔を出すから」
「はい、分かりました。有難う御座います」
一颯さんの声を聞けた事で、少しだけ不安から解放された気がした。困難に出くわした時、一颯さんが居れば自分の足で立ち向かう事が出来る。きっと大丈夫、そう思って両方の拳に力を入れる。私は一人じゃない。一颯さんも高見沢さんも優月ちゃんも居て、その他にも支えてくれる方々も沢山居るのだから負けない。
本音を言えば怖くて堪らないけれど、相手はお客様として来ている。私が誠実な態度を示せば、きっと大丈夫!



