彼、幸田様の元を離れ、ふう~っと長く息を吐く。客室の廊下に出た瞬間に緊張が解けて、肩の荷が下りた。彼は何が目的なのだろう?高級ホテルに泊まってみたいと言う欲求は私にもあるが、私を呼び付ける理由は何なのだろう?
「……幸田様は篠宮さんを気に入っているんだね。一体どういう関係?中里さんも知ってたでしょ?」
「……はい、以前、レストランの研修に行った時に来ていた配膳会の人です。まだ大学生って言う事は知っていましたが、名前は知りませんでした」
客室を出た後にエグゼクティブフロアのパントリーの隅で会話をする。
「大学生かぁ……。エグゼクティブフロアに泊まる為にお金貯めて来たんだね。精一杯のおもてなしはしてあげたいとは思うけど、何となく曰く付きかなって思うよ」
「そうですよね…」
「とにかくルームサービスは頼まれたから手配して、その他の依頼が来たら俺が行くよ」
フレンチのコースの予約を入れ、その後に優月ちゃんに確認の電話をした。私のせいで優月ちゃんまで巻き込んでしまったが、一緒にルームサービスに行く業務を引き受けてくれた。彼に接客する私を見て高見沢さんは、唯ならぬ雰囲気に気付いたらしい。
高見沢さんには、一颯さんとの帰り道に彼に跡をつけられた事を何となく話しておいた。「ストーカーだとしたら、充分に気をつけなきゃね」と言って、念の為に一颯さんにも連絡をしてくれた。穂坂様の件に引き続き、一颯さんと高見沢さんには余計な心配をかけてしまったが、私が黙っている事により、余計に酷くなる事態は避けたかった。
「……幸田様は篠宮さんを気に入っているんだね。一体どういう関係?中里さんも知ってたでしょ?」
「……はい、以前、レストランの研修に行った時に来ていた配膳会の人です。まだ大学生って言う事は知っていましたが、名前は知りませんでした」
客室を出た後にエグゼクティブフロアのパントリーの隅で会話をする。
「大学生かぁ……。エグゼクティブフロアに泊まる為にお金貯めて来たんだね。精一杯のおもてなしはしてあげたいとは思うけど、何となく曰く付きかなって思うよ」
「そうですよね…」
「とにかくルームサービスは頼まれたから手配して、その他の依頼が来たら俺が行くよ」
フレンチのコースの予約を入れ、その後に優月ちゃんに確認の電話をした。私のせいで優月ちゃんまで巻き込んでしまったが、一緒にルームサービスに行く業務を引き受けてくれた。彼に接客する私を見て高見沢さんは、唯ならぬ雰囲気に気付いたらしい。
高見沢さんには、一颯さんとの帰り道に彼に跡をつけられた事を何となく話しておいた。「ストーカーだとしたら、充分に気をつけなきゃね」と言って、念の為に一颯さんにも連絡をしてくれた。穂坂様の件に引き続き、一颯さんと高見沢さんには余計な心配をかけてしまったが、私が黙っている事により、余計に酷くなる事態は避けたかった。



