いつもなら寝起きが良くない一颯さんだったが今日は本当に良く眠れたようで、ベッドから直ぐに起き出した。一颯さんが仕事に行く支度をしている間に簡単な朝食を作り、一緒に済ませた。その後に玄関先でお見送りをして、「行ってらっしゃい」のキスを交わす。この後が仕事だと思うと余韻に浸っている暇はないのだが、一連の流れが本当に新婚さんみたいで幸せいっぱい!
一颯さんのマンションを出て、一旦、アパートの寮まで戻り、支度をしてから出直す。朝から忙しくもあるが、幸せの代償だと思えば、苦ではない。
暖冬だと騒がれているので、外に出ても例年のようには寒くはない。 鼻にくるツンとした寒さも耳が痛くなるような寒さもない為、朝の一颯さんの温もりがまだ残っているような気さえした。
アパートの寮からホテルまでの道程、浮き足立っているように見えたらしく、通りがかった高見沢さんに注意を受けた。
「……あんたさぁ、顔が綻んでるし、分かりやす過ぎだから、もっと気を引き締めなさい!」
「お、おはよう御座います…高見沢さん」
高見沢さんからはほんのりと甘い香りが風と共に漂って来た。
「……柔軟剤?とても良い香りがします」
「マフラーから匂うんだよ!あの女にマフラー貸したら洗濯機で洗ったらしく、甘ったるい匂いがする!」
「あの女?……もしかして吉沢さん?」
「……そうだよ!帰り際に首元が寒いって言って、無理やり奪われただけ。貸した訳じゃないが、結果的には貸した事になっただけ」
吉沢さんが高見沢さんのマフラーを争奪し、洗濯して返したらしいけれど…何だかんだ言って二人は仲良しなんだよなぁ。
「あ、高見沢さんと吉沢さんって帰りが一緒になる事があるんですね。私はまちまちだから、誰とも合わなかったりですけど…」
「たまたまだよ、本当に、たまたま帰り際に会っただけ」
ムキになって否定する高見沢さんが可愛らしい。
一颯さんのマンションを出て、一旦、アパートの寮まで戻り、支度をしてから出直す。朝から忙しくもあるが、幸せの代償だと思えば、苦ではない。
暖冬だと騒がれているので、外に出ても例年のようには寒くはない。 鼻にくるツンとした寒さも耳が痛くなるような寒さもない為、朝の一颯さんの温もりがまだ残っているような気さえした。
アパートの寮からホテルまでの道程、浮き足立っているように見えたらしく、通りがかった高見沢さんに注意を受けた。
「……あんたさぁ、顔が綻んでるし、分かりやす過ぎだから、もっと気を引き締めなさい!」
「お、おはよう御座います…高見沢さん」
高見沢さんからはほんのりと甘い香りが風と共に漂って来た。
「……柔軟剤?とても良い香りがします」
「マフラーから匂うんだよ!あの女にマフラー貸したら洗濯機で洗ったらしく、甘ったるい匂いがする!」
「あの女?……もしかして吉沢さん?」
「……そうだよ!帰り際に首元が寒いって言って、無理やり奪われただけ。貸した訳じゃないが、結果的には貸した事になっただけ」
吉沢さんが高見沢さんのマフラーを争奪し、洗濯して返したらしいけれど…何だかんだ言って二人は仲良しなんだよなぁ。
「あ、高見沢さんと吉沢さんって帰りが一緒になる事があるんですね。私はまちまちだから、誰とも合わなかったりですけど…」
「たまたまだよ、本当に、たまたま帰り際に会っただけ」
ムキになって否定する高見沢さんが可愛らしい。



