「はい、出来ました。冷凍パスタも侮れないですよ」

テーブルにフォークとスプーン、温めた冷凍パスタを並べる。泣かないように我慢していたら、声が震えた。

「………恵里奈」

気付かれた。まずいと思ってクルリ、と後ろを向いて部屋を出ようとしたのだが…先に捕まってしまった。

「本当に…ごめん。さっきも言ったが、クリスマスは過ごせないかもしれないけど、その前後に一緒に過ごせるように必ず調整するから」

座り込んでいた一颯さんが咄嗟に立ち上がり、背後から抱き締められる。一颯さんの温もりが暖かい。穂坂様の件があってからは、一颯さんは軽いスキンシップはしてくるけれど、キスやそれ以上はしてこない。もう、一颯さんの事は怖くないのに……。

「…絶対、ですよ?私、年が明けても叶うまでずぅーと待ってますよ」

「なるべく、年が明けない内に叶えるようにするよ」

我儘を言わないつもりが、クリスマス気分も相成って言ってしまった。困らせるのは分かってる。無理させてしまうのも分かってる。けれども、一緒に居たいの
───……

部屋を出た後、お客様のチェックイン予定時間迄の時間があった為、私はエグゼクティブフロアの予約をチェックする。

一颯さんの大切なお客様が気になる。

エグゼクティブフロアではないのだろうか?クリスマスイブと当日と言っていたから、二泊するのかな?