「ただいま。」
と翔がドアを開けると、
「パパ。お帰りなさい。」
と花が 玄関に走ってくる。
愛らしい顔立ちと、穏やかで 優しい性格の花。
小さな頃の 絵里加のように 家族みんなに 大切にされている。
「花ちゃん、ただいま。お利口にしていたかな。」
翔は 花を抱き上げる。
両親に 愛されて育った翔は 自分も親になって 我が子の可愛さに驚く。
「うん。ママと 折り紙をしていたの。」
可愛い声で、翔に話しかける花。
この子を 幸せにする為なら、どんなことでもできると 翔は思う。
勤務医の頃に比べて、時間に 余裕ができた奈緒は 毎日、料理に 手を掛けてくれる。
食卓に並ぶ、バランスの良い食事を見て 翔は 優しく奈緒に 微笑みかける。
「美味しそう。奈緒 俺を太らせて モテないようにしている?」
翔が言うと、
「大丈夫。パパは 花ちゃん以外の女性に、興味ないもの。」
と奈緒は笑う。



