「奈緒は男勝りだからなあ。」
と言う翔。
「でも、自分が 医師になる方が 確実じゃない。」
と奈緒は、翔の顔を見る。
「そうだけど。でも それを叶えた奈緒は すごいね。」
翔は 笑いながら、優しく奈緒を見る。
照れた顔で 決まり悪そうに 俯く奈緒。
「最初はただ、お金持ちになりたくて 医師になろうと思ったけど。医学部に入ると 医療にのめり込んじゃって。すごい仕事じゃない、医師って。」
奈緒の言葉を 翔は 頷きながら聞いていた。
「私、医大生の頃は 結構 成績良かったのよ。でも 研修が始まると 足踏みしちゃって。やっぱり 無理なのかなとか 落ち込んだりして。」
奈緒の言葉に、
「俺も同じだよ。怖くなっちゃってさ。命に責任 取れないし。」
翔が言う。