「それも買う?」

奈緒に近付いて 翔が言うと、
 
「ペンダントなら、絶対に 診察の邪魔にならないよね。」

と奈緒は 上目使いに 翔を見る。
 

「そうだね。どれがいいの?」

奈緒が指した 一粒ダイヤのペンダントは 指輪に比べると 手頃な値段。
 

「もう少し大きい方がいいよ。」

一回り大きいダイヤを選ぶ翔。


試着する奈緒の笑顔は、明るく輝いて、
 

「すみません。これもお願いします。」


と翔は店員さんに言ってしまう。
 

「本当に買うの?」


奈緒は 驚いて 翔を見て言う。

優しく頷く翔を、嬉しそうに 見つめる奈緒。
 


そのまま着けた ペンダントを、奈緒は 嬉しそうに 何度も触っている。
 

「本当に 買ってくれると 思わなかった。」

奈緒は 翔の腕を取って、弾むように歩く。
 

「奈緒 穴が空くほど 欲しそうに 見ていたから。」

翔も笑って言う。
 


「どうしても 今日 何か 持って帰りたかったの。」


と奈緒は翔を見上げた。

優しく頷く翔も 奈緒と 同じ思いだった。