奈緒の両親にも 挨拶し、二人の将来のことを 認めてもらった。


奈緒の実家は 東京都下で 両親と 公務員の弟が 暮らしていた。

奈緒の両親は 翔が 医師である以上に 廣澤工業の息子ということに 驚いていた。
 


「もう少し 仕事が落ち着いたら きちんと 結婚したいと思います。」

と言う翔。
 
「奈緒でいいんですか。ご実家との お付き合いもあるでしょう。」

奈緒の父は 心配して言う。


サラリーマンの父が 奈緒に 医大を卒業させたことは 大変な負担だったろう。


地味で 実直そうな奈緒の両親。

普通の家庭で 育った奈緒だから 翔は 惹かれたのだと思う。
 


「もちろんです。僕は次男で 実家を 継ぐわけではないので。それに奈緒さんは 僕の家族とも 仲良く 付き合ってくれています。」


翔が言うと、奈緒は 得意気に微笑む。
 


「翔の家族って特別だよ。みんなすごく良い人で。私 ちゃんとするから。大丈夫だからね。」

と言う奈緒を 母は 心配そうに見つめていた。


両親と話す奈緒は 少女のように 幼い表情に戻る。

翔は 新鮮な驚きで 奈緒を見つめていた。
 


「いずれ 僕の両親も ご挨拶させて頂きますが どうか心配なさらないで下さい。」

と翔は 頭を下げた。