お正月、翔は 奈緒を 実家に連れて行った。
 

「初めまして。藤谷奈緒と申します。宜しくお願い致します。」

緊張して 挨拶する奈緒。
 

「あら。お祖母様の時 病院で何度か お会いしましたよね。」

母は 優しい目で、翔と奈緒を 交互に見る。
 

「はい。私 何度も お祖母ちゃんの部屋にお邪魔して。色々 話しを 聞いてもらっていたので。」


奈緒は 照れた顔を 母に向ける。
 

「えっ。診察していたんじゃないの?」

驚いて言う母に、
 
「はい、全然。私 担当外だったから。」

恥かしそうに 俯く奈緒。
 


「じゃあ、どうして?」

母は 意外そうに奈緒に聞く。

父も 興味津々で 奈緒の言葉を 待っている。