自分の意志を 伝えることができて、肩の荷が下りたのか お祖母様の体は 急激に 弱っていった。

段々 食事がとれなくなり、自分で 体を動かすことが できなくなっていく。
 


母や麻有ちゃんが お祖母様の好物を 持って来ても、お祖母様は ほんの少ししか 口にすることができなかった。

翔と 中庭を散歩する力もなく、お祖母様は いつも 静かに横たわっていた。
 


体は弱っていても お祖母様の心は 以前と同じように 穏やかで 優しい思いやりに満ちていた。


毎日 訪れる家族と静かに話し、笑顔を絶やさない。

泣き言や我儘も言わず、いつも みんなに感謝をしていた。