「皆さんに 一生懸命、治療して頂いていることは わかっています。もちろん 私も 治すつもりで頑張ります。でももし、最後の時が来たら 静かに 見送ってほしいんです。」


お祖母様の はっきりした言葉に 速水先生と翔は 顔を見合わせる。
 

「それは、お祖母ちゃん一人の希望ですよね。ご家族は 承知しているのですか。」

速水先生は 慎重に言う。
 

「家族は 反対すると思います。だから 家族には言わないで下さい。たとえば 意識がなくなったら そこで治療を 終わりにして頂きたいんです。」



お祖母様の 強い意志に 翔は驚いて、
 

「お祖母様、そんなこと。」

と言ったきり 次の言葉が 見つからない。
 


「もし 確認の書面が必要なら、今のうちに 署名したいと 思いまして。宜しくお願い致します。」

お祖母様は 静かに言う。