「俺、色々な所へ 連れて行ってもらって 色々なこと 経験させてもらって。どこに行っても、いつも楽しくて。」


家族への感謝が 翔の胸を 熱くする。
 


「何も経験できないまま、ずっと 病院で過ごす子もいるのに。」


翔が続けると


「翔は優しいね。そこに 気付くことが 大切だから。良いお医者様になれるよ。」


お祖母様の言葉は、いつも 温かく翔を包む。
 

「俺、自分がしてもらったこと どうやって 恩返しすればいいか わからないよ。」

翔が ポツンと言うと、
 

「そう思っていることが、もう 恩返しになっているから。大丈夫だよ。」

とお祖母様は 優しく言った。