両親が心配した程、抗がん剤の 副作用はなく。 その代り、あまり効果もないまま お祖母様は 静かに弱っていった。 天気の良い日 翔は お祖母様を 車椅子に乗せて、中庭を散歩した。 「外は気持ち良いね。」 とお祖母様は 笑顔になる。 車椅子を脇に停めて、翔は ベンチに腰掛ける。 お祖母様は 病院の建物を見上げて 「大きな病院だね。病気の人って こんなにたくさんいるんだね。」 と感慨深げに言う。