翔は、検査の結果を 速水先生から聞いた時の 驚きを思い出す。


明るく 元気なお祖母様だから。


辛い検査をしている時も、笑顔で 看護師にお礼を言って。


気丈に振舞っていた。
 


「何とかならないのか、翔。」

父が 寂しそうに言う。


翔も同じ気持ちだった。
 


「お祖母様、高齢だから。そんなに 強い薬も使えないんだ。でも少しでも長く、お祖母様といられるように みんなで頑張るから。」


翔が言うと、母の目から涙がこぼれた。

「宜しくお願いします。」


父は強張った顔で頭を下げる。
 

「ご本人にも、これから お伝えしますか。」

速水先生に聞かれ、
 

「明日。明日、お願いします。今夜、気持ちを落ち着けるから。」

父は、速水先生と翔の顔を 交互に見て言った。