夜の蝶

#豊への気持ち#

豊は最初から最後までずっと私を愛してくれていました。

出会いは、私が落とした財布を親切に交番に届けてくれた日だったね。

はにかんだ時に見えた八重歯がなんともセクシーだったのを今でも覚えてるよ。

嫉妬深いからと夜の仕事を隠していたこと、後悔しています。

もしあの時、初めから話していれば「夜の仕事をしてる女とは付き合えない」って、私を切り捨ててたかな?

そうすれば豊をこんな目に合わせずに済んでいたかもしれないね。

私が不倫をしていると知りながら私には気付いていないふりをしてくれ、毎日笑って支えてくれていました。

今思えば、もしかたら夜のお仕事をしていたことも分かってて黙ってくれていたのかな?

居酒屋で働いていることになってるのに、私の身なりが派手なことに疑問に思ってたはずなのに、一度も深く追及してこなかったもんね。

そんな優しい豊に対して私は、この人は何も言ってこないから大丈夫。と、自分勝手に調子に乗っていました。

何よりも私を優先に考えてくれてたのにね。

豊との間に早く子供が欲しくて、妊活にも積極的に取り組もうと努力してくれていたのに、私の都合で振り回して本当に最低だよね。

残業だと言って遅く帰った日でも、笑顔で「おかえり」って言ってくれてたよね。

豊に寂しい思いをさせ、心優しい豊にさえ間違った道を進ませてしまった。

きっとその時の彼女さんなら豊を大事にしてくれていたはず。

彼女が私に見せた涙は、貴方を心から愛しています。と言っているようでした。

私の為にと自ら身を引いた豊は誰よりもたくましかったです。

当たり前に傍にいてくれる豊から目を逸らし、違う人に夢中になっていた自分がどれだけ豊に不快感を与えていたことか。

不倫を楽しんでおいて、豊を失いそうだからと別れたのに、そのイライラを豊に当ててしまい、離婚を切り出されたら別れたくないと縋り、結局は社長を選んだ私。

こんな最低な女に尽くしてくれた豊の優しさが今になって分かるなんて…

社長に会おうと思ったときどんな気持ちでいたのだろうか…

きっと平常心では会えなかったはず。

あなたがゆうの事を幸せにしないと俺が身を引いた意味がなくなる。今みたいな中途半端な状況を続けるなら、今すぐ俺らの前から消えてくれ。ゆうだけの幸せを俺は望んでいる。

そんな風に社長に言っていたこと、後から聞きました。

きっと豊は社長のことを見抜いていたんだよね。

結婚生活は短かったけれど、何十年もの期間を一緒にいたかのような愛情を注いでくれました。

あなたの人生の中で私と出会ったこと、後悔していますか?

私はあなたと出会って後悔したことは一度もありません。

全ての幸せはあなたが原点です。

お互い深く関わることなく平凡に過ごし、夫婦であって他人なんだ。と感じた時も正直何度かありました。

それが当たり前なんだとやり過ごしていたのかもしれません。

それでも私にとって理想の旦那さんでした。

ただ1つ言えるのは、こんな私を愛してると言ってくれて最後の最後まで支えてくれたこと感謝しきれません。

豊、ごめんね…

あなたの勇気のある男らしい行動を私は無駄にはしたくないです。

寂しい結婚生活をおくらせて本当にごめんなさい。

あなたの幸せを私が一番に願っています。

短い間でしたが今まで本当にありがとうございました。