小学5年生の春。

クラス替えのせいでずっと一緒にいた友達と離れてしまった。

「ななかぁー!」

この子がずっと一緒にいた友達、みき。
いつも元気で、こんな暗い私にも明るく接してくれる。

「みきー!クラス離れちゃったね」
「ほんとだよねー。先生のこと怒っちゃう!」
「みきがいないと学校生活無理かも…」
「大丈夫だよ!クラス替えをきっかけに少しでも明るくなりなよ!そんでモテなよ!失恋してたじゃんか!」
「う、うるさいなぁ。あれは高嶺の花だったんだよ!」


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小4の時、私はある人に恋をした。

勉強も出来る。スポーツは有名どころのクラブチームに入っていてなんでも出来る人だった。

席が隣になって話していくうちにだんだんと意識するようになっていた。

そのうちに告白しようと思っていた。
だが、告白をする前にその子の好きな人を知ってしまった。

それはたくさんの人から人気があり、とてもモテてる“ゆうか”という子だった。
こうして私の恋は終わった。

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「確かにあれは高嶺の花だね」
「もう忘れたいわー」
「忘れるためにも早くクラスに打ち解けな」
「頑張ってみるよ」

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教室に入り黒板に貼ってある自分の席を探す。
窓際の一番後ろだった。
少し嬉しかった。

席に座ると前にはまだ誰も座ってなかった。

まだ来てないのかな。

窓から外を見ると風が吹き、桜の花びらが入ってきて机の上にのっかった。

何かいいことがありそう。

「お、隣お前か」

急に誰かが話しかけてきた。
ここからもう私のキャラ設定が決まってくる。
明るく行こうぜ。自分。

「おー柳一郎じゃん」

柳一郎は1.2年生の時にクラスが一緒だった。

「お前なんか明るくなった?」
「そーかな。」
「あ、分かった!キャラ設定だな?」

な、なぜバレた。

「ち、違うよ。」
「ほんとかよ。まあいいや。」
「てか前の席ゆきやん」
「やっほー」

げ。ゆきだ。
どうもこの子のことは好きになれないんだよな。

「ななかちゃん。よろしくね」
「うん。こちらこそ」