母は戸惑う私を冷静に宥めて
車に乗せるとそのまま病院に向かった。
病院についてすぐ、
秋の病室に向かうと沢山の医師や看護師が懸命に彼の命を繋ごうと奮闘している所だった。
心電図から聞こえる秋の心臓の音は
それでも徐々に弱まっていく。

「秋っ秋!!!」

やっとの事で状況を把握した私は声を上げるが、彼の反応はない。
すぐ側で彼の両親が嗚咽を漏らし始めた。
いやだ、と思うのに私に出来る事は何にもなくて呆然と立ち尽くす。