"まだ告白とかはしてないから秘密にしてね"

「ええ、もちろんよ」

照れた様子で言葉を濁す娘の姿に
母はここにきて初めて頷きながら笑った。

玄関のドアを開ける。
そこに待っているであろういつもの秋のあの笑顔を思い浮かべながら。

「──────────秋?」

家の壁に立てかけられた自転車の次に
扉のすぐ横に倒れている少年の姿を見つけた。

もしかして、父になにかされたのでは?