第3章 【好きな人】

夫婦生活を諦めて何気ない日々を送っていた私は、子供も保育園に通い始めたのでパートを始めた。
家の近くのパチンコ屋だけど時給もいいし
スタッフも和気あいあいとしてて、私はひたすら仕事三昧して、気を紛らわしていた。
仕事終わりに喫煙室でみんなと他愛もない話をするのが唯一、何も考えない楽しい時間だった。
仕事は昔からあまり長続きしない私だけど、
半年経つのがあっという間なくらい、仕事が自分の生きがいで、唯一の自分の居場所とも思えた。

それと同時に私には好きな人ができていた。

会社の上司であり、主任(37歳)の事が
自然に好きになっていた。
彼は高身長で顔もなかなかカッコイイ方だと思う。でもすっごくクールだから周りからは怖がられてる。全然モテてない。
けどそんな主任の心を掴みたいといつしか思うようになっていた。
私は主任が出勤の日には、綺麗にメイクをし、いい匂いのするボディーミストなんかつけたりして、たくさん話しかけた。
最初はすっごく素っ気なくて、何を言っても
「はい」と真顔で答えるだけだった彼が
日に日に、少しずつだけど、ちゃんと会話をしてくれるようになっていく。

私はこのころからすでに
主任にハマっていたんだと思う。