「実は俺、先輩のこと見てたんすよ」 「え?私のこと?」 錦織くんは、リュックの紐を両方の手で握って俯きながらそう言った。 「そう。すごい速い先輩いるなあと思って。思わず走る姿に見入ってました」 「……そうなんだ」 そんな風に見てた人がいるだなんて嬉しい。 思わず顔がにやけてしまいそうになる。