1年生の玄関にはもうクラス発表が張り出されていた。

「真羽ちゃん!おはよう。」

「おはよう、雛。」

桐谷 雛子(きりたに ひなこ)。中1の頃から仲が良い私の親友である。
ふわふわしてて、かわいくて、まるで小動物みたいな女の子だ。

「今年も同じクラスだったよ!B組だって~。」

「ほんと?うれしい!」

「私もうれしい!」

ニコッと笑う雛に周りの男子はノックアウトだ。

やっぱり雛はすごいな。

「あ、そうだ!」

真羽に渡したいものがあるの!と言ってリュックをガサガサとあさり始めた雛。
私の誕生日はまだだしなぁ。
なんだろう?

「はい!これお守り!」

「え?」

見間違いかなって思って目をこすってみたけどやっぱりこれは見間違いじゃない。

安産祈願。

「今日、新入生代表で何か言うんでしょ?首席だなんてすごいね!」

「え、あ、ありがとう。」

え、これ新入生代表のお守りなの?
安産祈願って書いてあるよ?

「はい!これあげるね!」

雛は私の手にポンっと安産祈願のお守りを渡すと、満足そうに歩き出した。

「真羽ちゃん、おいてっちゃうよ~!」

「あ!ちょっと待って!」

こうして私は安産祈願のお守りを制服のポケットに入れ、無事新入生代表の役目を終えたのだった。