からふる。~第22話~

「玲央、何してる。開けろ」



しゅうくんの声...。


やっと助かる。


生き返る。



「ったく、地獄耳だなぁ紫雄も」



そう言った後に私の瞳に移り込む黒羽くん。


何、この表情。


うまく言葉に出来ないけどなんていうか、その...


とにかく悲しそう。


そして、私の呼吸が止まるほどに辛そうで、苦しい。



「さあや、ありがとな。おれに夢を見させてくれて」



は?


夢?


何のこと?


疑問が言葉にならない内にドアが開いた。



「さーやちゃん大丈夫?今度は何された?」


「えっと...その...ポッキーの日だからポッキー食べてて...喉に詰まった」


「えっ?」


「だからちょっとパニックになって叫んじゃったんだ。ごめん、心配かけて」



私、なんで嘘を...。


口から次々に嘘が出てくる。


その嘘で塗り固めて黒羽くんをかばうかのように。


助けてもらいたかったはずなのに私は無意識に自分の意に反した言動をしていた。



「こんな時間にポッキーかよ。玲央、さーやちゃんに余計な気苦労させるな。お前の遊びに付き合う時間はない」


「ああ、そうだな。すまなかった」


「本当にこういうことは止めろ」


「おれが止める代わりに紫雄がさあやと遊んでやってくれ」


「遊ぶ?よく分からないけど、オレはオレのやり方でさーやちゃんを喜ばせる。玲央みたいな低レベルな遊びはしない」


「ま、お前は頭が切れるからそうだろうな」



なんか黒羽くんの言葉意味深だな。


どういう意図で言ってるのか全く分からない。



「さーやちゃん、いこう」


「うん...」