からふる。~第22話~

えっ?


えっ?


私の手をがっしり握る黒羽くん。


帰らせてはくれないようだ。



「このまま終わると思うか?まだリハーサルは序盤だ。こっからが本番だ。おれがいいって言うまでおとなしく言うこと聞け」


「ま、ま、待って。分かったから手離して」


「離さねえよ。逃げられたら困る」



ヤバイヤバイ。


これはまずいよ。


叫ぶしかないかな?


叫んだら誰か助けに来てくれる。


だって緊急事態だもん。



「た、た、たす...」



な、な、な...なんてことぉ?!


叫ぶ前に口を塞がれた。


そして甦る記憶。


黒羽くんとの出会いは衝撃的なキス。


うるさくしたら口を塞ぐと言われた。


それは永遠に継続するらしい。


なんで早朝3時にポッキー食べた後キスするの?


頭おかしいって。


ってか、長い!


離して。


離してよっ!


私は力の限り、黒羽くんの胸を押して引き離した。



「おっと」


「また勝手にキスして!いい加減にして!」


「さあや、学習しろよ。さあやよりおれの方が力は強い。さあやが口ごたえしても、おれは一瞬でまた仕留める」



そ、そんなの...そんなの卑怯!


だけど、もう何も言えない。


逆上したら黒羽くんの思うつぼだ。



「しっかし、朝から最高の栄養もらったよ。ありがとな」


「栄養って、私食べ物じゃないから」


「今日はここまでにしてやるけど、いずれさあやはおれの食べ物になる。今から楽しみだ」


「意味不明っ!さいってえ!ほんともう関わりたくないっ!」


「おい、うるさいぞ!静かにしろ」



と、その時。