からふる。~第22話~

「さあや」


「何?」


「もう1回だけやってくれ。真面目にお願いする。これでは練習にならない。ほんと、ギリギリのところで止めてくれ。頼む!この通りだ」



土下座っ?!


普通こんなくだらないゲームのために土下座までしますか?


やっぱり狂ってるな。


でもこのまま終わる訳にもいかないし、やるか。



「分かった。あと1回だけね」


「よしっ。今度こそ全力でやる」



ってことでまた私はチョコ側からスタート。


その気配りは誉めてあげたい。



「じゃあ、始める。よーい...スタート」



進めてみて分かった。


これ、けっこうキツイ。


相手に吸われるからガリガリするのに前のめりにならないとダメなんだ。


冷静に冷静に...。


って、もう来てる!


離さないと...。


咄嗟に離したのだが、次の瞬間...。



「うわっ」



前につんのめって黒羽くんの腰に抱きついてしまった。



「おい、大丈夫かよ?」


「だ、だ、大丈夫だから。心配ご無用」


「のわりには動揺してんな?」


「してないしてない。それよりもう終わったんだから帰る。こんなくだらないゲームに付き合うほど、私暇じゃないんだから」


「へぇ。とか言っておれに襲いかかって来たんだから、やっぱ狙ってたんだろ?」


「あれは事故!もうっ!こんなの2度とやんないんだから!」



本当に心臓に悪い。


キスしなかったから良かったけど、ギリギリセーフだった。


もしかしたら大事故になっていたかも。


ふぅ。


部屋に戻って一旦セーブしよう。



「じゃあ、私はこれで」