からふる。~第22話~

そして来る10日。


早朝3時。


掃除前に一戦交えることになった。


もう何回も来ているから順応も早い黒羽くんの部屋。


私は仕方がなく定位置に座った。


目の前には水の入ったと縦長の箱が1つ。


これがポッキーというお菓子か。


随分細長い。


普通のお菓子より食べ応えが無さそう。


しかも途中からチョコ切れてるし。


コスト削減のため?



「おいおいさあや、いつまで箱とにらめっこしてるんだよ。さあやの相手はおれだ。箱ばっか見てんな」


「ああ、ごめんごめん」



今日も黒のパーカーに黒のジャージ姿。


おしゃれなのかなんなのか分からない。


何着黒い服持ってるんだろう?



「よし、やるぞ」



黒羽くんが箱からポッキーを取り出す。


へえ、1本ごとじゃなくて何本かセットになって袋に入ってるのか。


ふむふむ。


感心感心。



「じゃあ、さあやがチョコ側な。おれはこっちからスタートする」



は?


何言ってるの?


えっと...どういうこと?



「ねえ、これをどうすればいいの?」


「そっか、さあやは知らないんだったな。こいつを両側から2人で食べて行くんだよ」



は?


はい?



「そ、そ、そんなこと出来るわけないじゃん。だ、だ、だってそしたら最後...き、き、き...」


「キスするって?嫌なら途中で離せばいい。ま、最後まで真面目にやったらそうなるけどな」


「じゃあ私は秒で離す」


「ほぉ。じゃあおれは一瞬でそっちまで到達する」


「考えが変態。気持ち悪いよ」


「うっわ。今のでかなり傷ついたわ。HP5分の1以下。さあやから栄養もらわないと」



HP?


栄養?


本当に意味が分かりません。


助けて下さい。


何かあったら大声出せばいいし、とりあえず頑張ろう。


勝ちましょう、この勝負。