月明かり、君と歩く。

怒られる…よね。私は全く関係ないのに勝手に毱持っちゃったし。
男の子だって嫌なはず。
「あ、あの…ごめんなさい!」
「どうして君が謝るの?当てちゃってごめん。拾ってくれてありがとう。いま、母さんと蹴毱してるんだけど、一緒にやらない?」
あれ、怒ってないのかな…優しいなぁ。ありがとうって言われたの、いつぶりかな。
お母さんと一緒だったんだ。どこにいるんだろう。あたりを見回すと、一人の女の人と目があった。と、
「しょうちゃん、その子とは話しちゃダメよ!今すぐ戻りなさい!今すぐに!
そこの貧乏名無し!とっとと消えろ!二度としょうちゃんの前に現れるな!」
…やっぱり…ね。
私は貧乏だから、村の人から嫌われている。そうだよね。関わりたくないよね。
いつものことだから、悲しくはないんだけど、なぜか涙が溢れた。
私は、辛くなってその場から逃げるように家の中に駆け込んだ。
でも、布団の中にうずくまった後もしょうちゃんと呼ばれていた男の子が最後に見せた辛そうな表情が目に焼き付いて、なかなか寝れなかった。