俺も俺で美麗に意地悪をするのを止めないだろう。だって君は過剰に反応して、それを見るのが堪らなく愛おしくて好きだ。そうやって毎日笑って生活が出来ると思うのだ。君とならば

そしてまた偶然の悪戯で’子供なんていらない’と思っていた俺の元へ子供が生まれてしまったら、可愛がれる自信はまだない。

だって俺は、実の母の愛情を知らない人間だから、自分の子供を上手に可愛がれるかはまだ分からない。

だが、美麗が隣に居てくれるのならば大丈夫かもしれない。だって君はとても愛情に溢れている人だから―

「お土産は何がいい?バックか?ネックレスか?」

そう問うと、美麗はまた顔を歪ませて変な表情を作る。

「何で北海道のお土産がバックやネックレスなのよ。アンタ馬鹿?」

真顔で俺に馬鹿と言える女は、この世でアンタくらいなもんだ。

ムカつくがそんな女が世界にひとり位いても良い。

「美麗ママには何が良いだろうか?」

「この間のお菓子喜んでいたけどね~。ママはお菓子が好きだから。
パパも喜んでたわよ~北海道の蟹」

「そうか、では沢山買ってこよう」

「沢山って…また馬鹿みたいに買ってこないでよ?
後お母さんとお父さんにも買ってきてあげなさいよ?お母さん甘い物好きみたいだから」

美麗が指す’お母さん’と言うのは俺の母の事だ。 自分の両親だけではなく、俺の両親の事を考えてくれるのも実は嬉しい。

ソファーの隣に座って、俺の肩に寄りかかる美麗の長い髪が揺れて、シャンプーの匂いが香る。

うん。これは間違いない。幸せだ。雪をお腹に乗せ、その俺の横に美麗が寄り添う。